工石山
中高の同級生と、27年ぶりに工石山(くいしやま)に登った。中1のとき席が一つ前で、田舎から出てきた僕が初めて喋ったはずのO君(これを書こうと思ったのは、つい昨日僕の右の席にいた涙目のA君から連絡がきたからです)と、O君と同じ部活で今も親しいらしい同じ学級になったことのないN君。その後話してなくて30年ぶりくらい。今会うとむしろ話ができて、年取って寛容になったのはもちろんだけど、当時、クラスも分かれたり、部活や、つるむ集団で属性が縦割りになり、所属集団の意識で狭い世界を見ていたのだなと、今思えば狭量で勿体ないと改めて思ったものでした。
前回登ったときのことはほとんど忘れていたけれど、工石山は県民の森の名の通り実に歩きやすく、こどもたちが普段着で自然学習に来られる、いわば遠足山で、登山は初めてのON両氏でも難なく登れていた。思えば、高2の先輩たちがA君を含む僕ら高1の素人をつれてってくれたのでした。ちなみに登山口まで高知市内から車で40分くらい。
そうそう、O君から相当早く出発したと連絡があり、N君と僕は集合時間ぴたりに着いて、先にいるはずのO君がおらず電波も悪く、我々の心配をよそに、しばらくしてひょうひょうと現れた。どこかで買い物していたらしい。
登りは南回り、降りは北回りにした。南北の分岐点までは、少し傾斜がある程度だが、ここが比較的きついかも。
南回りは、広葉樹の中をたまに高知平野〜浦戸湾を目にしながら歩きます。工石山唯一こだまの聞こえる場所というのがあって、O君は「ちくしょう」(だったか?)と叫んでいた。N君は薬関係の仕事で野花の記録をとっていて、見つけては皆で観察、可愛らしいねなどと述べ合う。8割ほど行ったところに賽の河原という、高知市民には馴染み深い鏡川の源流点の、色とりどりの木の葉が浮かんだ清らかな水場がある。山椒魚が見られるらしい。水中の石をめくって観察している二人のおじさんは小学生のようだったが、時期は春夏だそうだ。その後少し急な道になり、春にはシャクナゲの群生が見られるそう。次は山椒魚とシャクナゲの季節に来ようと思う。
程なくして山頂へ。雲一つない秋空、平野と海を一望しながらの昼飯。初めての登山、ON(敬称略)はなんとも言えないような喜び(我が子らにはわからんだろうな)を噛みしめているようでした。
北回りは午後の北風が冷たいが、途中針葉樹の森があったり、四国山地の山々(石鎚も見えたと思う)や、工石山との間の谷に展開する棚田の風景や、各県を代表する木の植樹など、南回りとは異なる山容が味わえます。
ちょっとハードな散歩に、工石山おすすめです。
Nov.16, 2022